家族が亡くなると、深い悲しみのなかで、短い時間に多くのことを決めなければなりません。何から手をつければよいか分からず、慌ててしまうのは当然です。
ただ、やるべきことには順番があります。先に結論をお伝えします。まず落ち着いて、医師の死亡確認とご遺体の搬送先を確保してください。そして、葬儀社を焦って即決する必要はありません。搬送だけを先に頼み、葬儀の契約は落ち着いて複数社で比べられます。
この記事では、臨終から葬儀までにやることを、時系列で、特定の葬儀社に誘導せず中立にまとめます。遺品整理の情報を扱う立場から、葬儀のあとに続く手続きや片付けまで見通せるようにお伝えします。
葬儀までの大きな流れは、次のようになります。
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死亡の確認・死亡診断書
医師が死亡を確認し、死亡診断書を受け取ります。
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ご遺体の搬送・安置
安置場所へ搬送します。まずは搬送だけで大丈夫です。
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葬儀社を決める
焦らず複数社で見積もりを比べます。
その場で契約する必要はありません。
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親族・菩提寺へ連絡
知らせる範囲を決め、菩提寺には日程を決める前に相談します。
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死亡届・火葬許可
死亡を知った日から7日以内に届け出ます。
火葬は死後24時間を経過してから。
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通夜・葬儀・火葬
形式と日程を決めて執り行います。
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各種手続き・片付け
年金・保険・相続の手続きと、遺品整理へ。
以下、各段階を順に見ていきます。
危篤と言われたら(亡くなる前にできること)
医師から危篤を告げられたら、できる範囲で次のことをしておくと、いざというときに落ち着いて動けます。
会わせたい人へ連絡
会わせたい家族や親しい人に知らせ、そばにいられるようにします。
喪主・連絡役を決めておく
あらかじめ決めておくと、亡くなったあとの動きがスムーズになります。
菩提寺の連絡先を確認
菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)がある場合は、連絡先を控えておきます。
現金を少し用意
故人の預金口座は、金融機関が死亡を把握すると凍結され、しばらく引き出せません。葬儀費用などにあてる現金があると安心です。
危篤は、必ずしも臨終を意味するわけではありません。ただ、この段階で連絡先や段取りを整理しておくと、いざというときに冷静に動けます。慌てて葬儀社と契約する必要はなく、情報を集めておく程度で十分です。
【まず落ち着いて】臨終直後にすること
亡くなった直後にすることは、亡くなった場所によって少し異なります。
病院で亡くなった場合は、医師が死亡を確認し、死亡診断書を作成します。医師法により、医師は求めがあれば正当な理由なく診断書の交付を拒めないと定められています。この死亡診断書は、このあとの死亡届や保険金の請求などで必要になる大切な書類です。
自宅で、かかりつけ医の診療を受けていた方が亡くなった場合は、その医師に連絡します。診療していた病気で亡くなったときは、死亡診断書を作成してもらえます。一方、突然死や事故など、死因がはっきりしない場合は、警察に連絡し、医師の検案(死体検案書の作成)を受けることになります。この場合は、警察の対応が終わるまでご遺体を動かせません。
まず何をするか迷ったら、亡くなった場所の医師または看護師の案内に従い、落ち着いて進めてください。
亡くなった直後、病院では看護師が体を清める処置(エンゼルケア)を行い、家族が末期の水を取ることもあります。作法は宗教や地域によって異なるため、無理に形式にとらわれる必要はありません。
なお、死亡診断書(死体検案書)は、このあとの死亡届のほか、年金の手続きや生命保険の請求など、いくつもの場面で必要になります。原本は1通ですが、コピーを複数取っておくと、複数の手続きを同時に進めやすくなります。
ご遺体の搬送・安置(葬儀は急がなくてよい)
病院で亡くなった場合、ご遺体はいったん病院から移す必要があります。ここで多くの方が「すぐに葬儀社を決めなければ」と焦りますが、大切なのは、搬送と葬儀の契約を分けて考えることです。
まず必要なのは、ご遺体を安置場所(自宅、または葬儀社などの安置施設)へ運ぶ搬送です。搬送は深夜・早朝でも24時間対応している葬儀社が多く、まずは搬送だけを手配すれば、いったん落ち着けます。
このとき、病院から葬儀社を紹介されることがありますが、紹介された葬儀社が割高な場合もあります。搬送を頼んだ葬儀社に、そのまま葬儀まで依頼しなければならないわけではありません。搬送と安置を確保したうえで、葬儀の契約は次の章のように落ち着いて比べることができます。
安置場所は、自宅か、葬儀社などの安置施設から選びます。自宅で安置する場合は、故人を寝かせるスペースと、ご遺体を保つためのドライアイスが必要です。安置施設を利用する場合は、面会できる時間や料金を確認しておきます。火葬まで日数が空くと、安置やドライアイスの費用が加算されるため、日程とあわせて確認しておくと安心です。
葬儀社は落ち着いて複数社で比べる
葬儀社を決める前に、故人が葬儀の希望を残していないかを確認します。遺言書やエンディングノート、生前の会話で、葬儀の形式や規模、宗教についての希望が示されていることがあります。希望があれば、それを踏まえて葬儀社に相談すると、あとで迷わずにすみます。
葬儀は、金額が大きく、内容も分かりにくい買い物です。悲しみと時間の制約のなかで急いで決めると、あとで「思ったより高かった」と後悔しやすくなります。
ご遺体の搬送と安置を確保したら、葬儀の契約は複数の葬儀社から見積もりを取り、総額で比べることが大切です。国民生活センターも、葬儀のトラブルを防ぐために「見積書を必ず受け取り、明細をよく確認すること」「打ち合わせは親族や第三者など複数人で行うこと」を勧めています。その場で契約を急かす葬儀社には、注意が必要です。
比べるときは、プラン名や割引の見せ方ではなく、「総額でいくらか」と「含まれる範囲」をそろえて見ます。搬送を頼んだ葬儀社に、そのまま葬儀まで頼む義務はありません。「他社と比べてから決めます」と伝えて、いったん見積もりを持ち帰って構いません。
とはいえ、火葬までの日程には限りがあります。あらかじめ費用の相場や形式を知っておくと、短い時間でも判断しやすくなります。形式ごとの費用は、葬儀費用全体の相場と内訳、家族葬の費用、直葬・火葬式の費用のページで解説しています。
親族・菩提寺への連絡
葬儀の形式と日程を決めるのと並行して、親族や近しい関係者に連絡します。誰に、どこまで知らせるかは、葬儀の規模(家族葬にするか、一般葬にするか)とあわせて考えます。
菩提寺がある場合は、日程を決める前にお寺へ連絡することが大切です。先に火葬や葬儀の日程を決めてしまうと、菩提寺の都合と合わず、読経や戒名、納骨で行き違いが生じることがあります。宗派や戒名の希望も、このときに相談しておきます。
連絡は、まず近しい親族から始め、次に故人と親しかった友人・知人、勤務先などへと広げます。親族は三親等(おじ・おば、おい・めいなど)までを目安に、故人との関係の近さで判断します。勤務先や学校には、忌引き休暇の手続きもあるため、早めに伝えます。
訃報では、亡くなった事実に加えて、葬儀の日程・場所・形式を伝えます。日程が決まっていない段階では、「まずは逝去のご報告まで。葬儀の詳細は決まり次第あらためてご連絡します」と伝えれば十分です。家族葬で参列を控えてほしい場合は、その旨も添えると、相手も対応しやすくなります。
死亡届と火葬許可(7日以内・死後24時間)
葬儀と並行して、役所の手続きを進めます。ここは法律で期限や手順が決まっています。
死亡届は、戸籍法により、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村へ提出します(国外で亡くなった場合は3か月以内)。届出には、医師が作成した死亡診断書(または死体検案書)を添えます。届出ができるのは、同居の親族、その他の同居者、家主や地主などの順とされています。
死亡届を提出すると、火葬に必要な「火葬許可証」が交付されます。墓地埋葬法により、火葬は市区町村長の許可を受けて行い、原則として死後24時間を経過しないと火葬できません(妊娠7か月に満たない死産などを除く)。
これらの手続きは、葬儀社が代行してくれることが多いです。誰が届け出るのかを確認しておくと安心です。
なお、火葬許可証は火葬当日に火葬場へ提出し、火葬後は納骨に必要な書類として返されます。納骨のときまで大切に保管してください。
通夜・葬儀・火葬の日程と形式を決める
葬儀社と、葬儀の形式・日程・内容を決めます。形式は、通夜と告別式を行う一般葬や家族葬、通夜を省く一日葬、火葬のみの直葬などがあります。費用や、どう見送りたいかで選びます。
このとき、喪主を誰にするかも決めます。喪主は、遺族の代表として葬儀を主催し、あいさつや、宗教者・参列者への対応をする役割です。配偶者や、故人に近い子が務めることが多いですが、決まりはありません。誰が務めるかを早めに決めておくと、葬儀社との打ち合わせが進めやすくなります。
日程は、火葬場の予約状況にも左右されます。火葬場が混み合う地域では、火葬までの日数が延び、その間の安置費用が加算されることもあります。
形式に迷ったら、参列してほしい範囲から考えると決めやすくなります。身内だけで見送るなら家族葬や一日葬、儀式を省いて火葬のみなら直葬、という選び方です。それぞれの費用と内容は、費用のページで比べられます。
費用の心づもり
葬儀費用は、葬儀後まもなくの支払いを求められることが一般的です。まとまった現金が急に必要になるため、支払い方法(現金・クレジットカード・分割など)を先に確認しておくと安心です。前述のとおり、故人の預金口座は死亡が把握されると凍結されるため、そこからの支払いをあてにしないほうが安全です。
葬儀のあとに続く「期限のある手続き」
葬儀が終わっても、期限のある手続きが続きます。おもなものを整理します。死亡診断書は、これらの手続きや保険金請求で何度も使うため、コピーを複数取っておくと便利です。
| 手続き | 期限の目安 | 窓口・備考 |
|---|---|---|
| 死亡届・火葬許可 | 死亡を知った日から7日以内 | 市区町村(多くは葬儀社が代行) |
| 年金受給を止める届出 | 厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内 | 年金事務所(マイナンバー収録済みなら原則不要) |
| 世帯主変更届 | 14日以内 | 市区町村(残る世帯員が2人以上で新世帯主が決まらない場合) |
| 健康保険・後期高齢者医療の資格喪失 | 14日以内 | 市区町村・保険者(保険証・資格確認書の返却) |
| 葬祭費・埋葬料の申請 | おおむね2年以内 | 市区町村・健康保険(申請しないと受け取れません) |
| 相続放棄 | 3か月以内 | 家庭裁判所(相続する場合は不要。専門家に相談) |
| 準確定申告 | 4か月以内 | 税務署(該当する場合。専門家に相談) |
| 相続税の申告 | 10か月以内 | 税務署(該当する場合。専門家に相談) |
期限や要件は、加入している制度やご家庭の事情によって変わります。相続や税金にかかわる手続きは、市区町村の窓口や税理士などの専門家に確認してください。それぞれの進め方と、遺品整理・解約など暮らしの後始末は、葬儀後の手続き一覧で詳しく解説しています。
賃貸・一人暮らしの方が亡くなった場合
故人が賃貸住宅で一人暮らしをしていた場合は、葬儀と並行して、住まいの対応も必要になります。
まず、貸主や管理会社へ連絡します。賃貸契約は相続の対象になり、退去や解約の手続き、退去期限までの原状回復が必要です。室内に残された家財(残置物)は、勝手に処分すると相続や契約のうえで問題になることがあるため、扱いを確認しながら進めます。
発見が遅れたケースなどで室内の傷みが大きい場合は、特殊清掃が必要になることもあります。こうした対応は、葬儀のあとの限られた時間のなかで進めることが多いため、早めに見通しを立てておくことが大切です。残置物の撤去や特殊清掃については、残置物撤去・特殊清掃のページで解説しています。
その先:遺品整理・住まいの片付け
手続きが一段落すると、次に故人の家財の整理や、住まいの片付けが必要になります。葬儀の費用だけで資金計画を立てると、このあとの遺品整理や住まいの片付けで、想定外の出費が重なることがあります。
とくに故人が賃貸住宅に住んでいた場合は、退去期限までに片付けを終える必要があり、時間の余裕がありません。身寄りが少ない方が亡くなったケースでは、残置物の撤去や特殊清掃が必要になることもあります。
葬儀と、そのあとの片付けまでを一つの流れとして早めに把握しておくと、慌てずに準備できます。
遺品整理は、四十九日を目安に始める方が多いですが、賃貸住宅では退去期限に合わせて早める必要があります。業者に依頼する場合も、葬儀と同じように複数社から見積もりを取り、料金と作業内容を比べると安心です。
まとめ
- 家族が亡くなったら、まず医師の死亡確認と死亡診断書の受け取り、ご遺体の搬送先の確保をします。
- 葬儀社は焦って即決せず、搬送だけを先に頼み、葬儀の契約は落ち着いて複数社で比べます。
- 死亡届は7日以内、火葬は死後24時間を経過してから、市区町村長の許可を受けて行います。
- 菩提寺がある場合は、日程を決める前に連絡します。
- 葬儀のあとも、年金・保険・相続など期限のある手続きが続きます。死亡診断書のコピーを複数用意しておくと便利です。
- 葬儀のあとの遺品整理や住まいの片付けまで見通しておくと、慌てずに進められます。



