遺品整理士とは?資格の取り方・費用・できること、業者選びで本当に見るべき点

写真は一部AI生成のイメージです

監修・編集責任

山本貴大

株式会社ローカルマーケティングパートナーズ 代表

本記事は、遺品整理士認定協会の公式情報、廃棄物処理法・古物営業法(e-Gov法令検索)、環境省、警察庁、総務省、国民生活センターの公的・一次情報にもとづいて内容を確認しています。

遺品整理の業者を探していると「遺品整理士在籍」「遺品整理士が対応」といった表示をよく見かけます。安心材料のように映る一方で、遺品整理士が国家資格なのか、その資格があれば必ず信頼できる業者なのかは、案外わかりにくいものです。結論を先に述べると、遺品整理士は国家資格ではなく、民間団体が認定する任意の資格です。資格そのものに法的な効力はありません。

ただ、効力がないから無意味というわけでもありません。この記事では、遺品整理士という資格の中身と取り方、費用や合格率の目安を整理したうえで、資格が保証するもの・しないものの線引き、在籍や許可を実際に確かめる方法、そして業者を選ぶときに資格より先に確認したい点までを順にまとめます。

遺品整理士とは

遺品整理士とは、一般財団法人 遺品整理士認定協会が認定する民間資格です。亡くなった方の家財や生活用品を整理する際に必要な、廃棄物の扱いや関連法令、遺族への配慮といった知識を学んだことを示すものとして位置づけられています。

ここで押さえておきたいのは、遺品整理士が国家資格でも公的資格でもないという点です。あくまで一般財団法人による任意の認定であり、この資格がなければ遺品整理を業として行えない、という決まりはありません。実際、資格を持たずに遺品整理業を営むことは違法ではありません。

それでも資格が広まっているのは、遺品整理という仕事に明確な業法(その業界を直接規律する法律)が存在せず、サービスの質や事業者の姿勢を外から見分けにくいという事情があるためです。総務省の調査でも、遺品整理は日本標準産業分類に独立した分類がなく、法令上の定義も業法もないことが指摘されています。判断材料が乏しい市場だからこそ、学習歴を示す資格に一定の役割が生まれている、と捉えると理解しやすいでしょう。

遺品整理士の取り方と費用

遺品整理士の資格は、協会の講座を受けて取得します。通学ではなく通信講座が中心で、教材で学んだうえでレポート(課題)を提出し、合格すると認定される流れです。働きながらでも進めやすい設計になっています。

費用や合格率の目安は次のとおりです。金額は改定される場合があるため、申し込み前に公式サイトで現行額を確認してください。

項目目安
取得方式通信講座+レポート提出
入会金30,000円
会費8,000円(1年間有効)
合格率約65%(二次情報の目安・協会公式サイトには明示なし)
会費の更新1年ごと(年次更新)

二次情報で約65%とされる合格率は、多くの受講者が学習を進めれば取得を狙える一方で、提出すれば全員通るという性質のものでもないことをうかがわせます(協会公式サイトに合格率の明示はないため、あくまで目安です)。会費が1年ごとの更新になっているのは、関連する制度や法令が変わっていくため、知識を一定の周期で見直す前提があるからだと考えられます。

費用感としては、入会金と会費を合わせても極端に高額なものではありません。事業者にとっては、集客面のメリットも含めて、取得の負担と得られる価値を見比べて判断するものになります。資格の取り方はここまでで十分つかめるはずなので、以降は依頼する側の視点、つまり「この資格表示をどう読み解くか」に絞って掘り下げます。

資格が保証するもの・保証しないもの

遺品整理士という表示を正しく読むために、資格がカバーする範囲を一枚の表で整理します。多くの解説は「在籍していれば安心」で止まりますが、実際には保証されるものと、されないものがはっきり分かれています。

観点資格が保証するもの資格では保証されないもの
知識廃棄物の扱い・関連法令・遺族対応を体系立てて学んだこと学んだ内容がその現場で実践されること
法的権限なし(資格に法的効力はない)家庭ごみの収集運搬(別に市区町村長の許可が必要)・買取(別に古物商許可が必要)
品質・料金業界の基準を学んだ姿勢の表明作業の丁寧さ・見積もりの適正さ・追加請求の有無
主体資格を持つスタッフ個人会社全体の体制(有資格者が自分の現場に来るとは限らない)

この表で伝えたいのは、資格は「学んだことの証明」であって「許可の代わり」でも「品質の保証書」でもない、という一点です。だからといって無意味ではなく、業法のない市場で事業者の姿勢を示すシグナルとしては機能します。資格表示を入口の目安にしつつ、法的に必須の許可と契約面の確認を必ずセットにする、という読み方が正解になります。

とくに法的権限の行は重要です。家庭から出る廃棄物を業として収集・運搬するには、廃棄物処理法にもとづき、その区域を管轄する市区町村長の一般廃棄物収集運搬業許可を受けなければならないと定められています(許可は更新制です)。遺品の買取には、古物営業法にもとづく公安委員会の古物商許可が必要です。遺品整理士であることと、これらの許可を持っていることはまったく別の話で、資格者が在籍していても無許可であれば適法にサービスを提供できません。

遺品整理士と「優良企業一覧」の違い

もう一つ、広告を読み解くうえで知っておきたい区別があります。協会には、個人に出す遺品整理士の資格とは別に、事業者(会社)単位で推薦する「優良企業一覧」の掲載制度があります。

両者は主体が違います。遺品整理士はスタッフ個人の学習歴を示すもので、優良企業一覧は会社としての協会の推薦を示すものです。「遺品整理士在籍」という表示は、社内に有資格者が1人いれば掲げられますが、その有資格者があなたの現場に来るとは限りません。協会サイトの優良企業一覧は会社単位の掲載なので、依頼先そのものを確かめる材料になります。

広告で「認定」「推薦」といった言葉を見かけたら、それが個人資格の話なのか、会社単位の掲載の話なのかを分けて読む。この視点があるだけで、表示の重みをかなり正確に測れるようになります。

在籍と許可を実際に確かめる方法

「遺品整理士在籍」と書いてあっても、口頭の説明だけでは確かめようがありません。依頼者の側から実際に検証できる手段を4つに整理します。どれも特別な手間はかかりません。

業者の表示を自分で確かめる4つの手段

認定証の提示

見積もりの場で遺品整理士の認定証を見せてもらいます。誠実な業者なら快く応じます。

協会の優良企業一覧

協会サイトの優良企業一覧に社名が掲載されているかを確認します。会社単位の推薦の有無が分かります。

許可番号の表記

買取を行う業者は原則、古物商の許可番号をサイトで公表する義務があります。公安委員会名と番号を確認します。

自治体の許可業者名簿

一般廃棄物収集運搬業の許可業者名簿を公開している市区町村が多くあります。社名で照合できます。

認定証は、遺品整理士に交付される証明書です。「在籍しています」という説明だけで終わらせず、見積もりの場で提示を頼んでみてください。渋る業者より、すぐ見せてくれる業者のほうが信頼しやすいのは言うまでもありません。

古物商の許可については、確認のしくみが法律で用意されています。古物商には営業所への標識の掲示義務があり、ホームページを持つ業者は原則として、氏名・許可をした公安委員会名・許可証番号を公表する義務があります(古物営業法12条。事業規模が小さい場合などの例外があります)。「〇〇県公安委員会許可 第〇〇号」という表記がサイトや見積書に見当たらないのに買取をうたう業者には確認を求め、答えがあいまいなら避けるのが安全です。

一般廃棄物収集運搬業許可は、市区町村長が区域ごとに出す許可で、許可業者の名簿を自治体サイトで公開している市区町村が多くあります。依頼先の社名が、作業する地域の名簿に載っているかを照合すれば、許可の説明が事実かどうかを自分で確かめられます。

注意したいのは、「市の許可業者と提携している」という説明です。家庭ごみの処理委託には再委託の禁止というルールがあり、提携をうたっていても実態として無許可営業に当たる場合があります。環境省や自治体も、こうした無許可業者の利用に注意を呼びかけています。許可の有無は、提携の説明ではなく、その業者自身が持っているかどうかで確認するのが安全です。

業者を選ぶとき、資格より先に確認したいこと

ここまでを踏まえると、業者選びで資格表示だけを頼りにするのは心もとないとわかります。遺品整理をめぐっては、即決をせかされる、当日に予定外の追加請求が出て見積もりの約2倍になった、処分しないよう伝えた物を勝手に処分された、といった相談が消費生活の窓口に寄せられてきました(国民生活センター・2018年公表)。資格表示の有無に関わらず、次の点を自分の目で確かめることが、こうしたトラブルを避ける近道になります。

確認項目なぜ重要か
一般廃棄物収集運搬業許可の有無家庭ごみの回収・運搬に必要な許可。無許可業者による不法投棄のリスクを避けるため
古物商許可の有無遺品の買取を伴う場合に必要。買取をうたうなら許可番号まで確認したい
書面の見積もり・契約書の交付作業範囲と費用の内訳を残せる。口頭だけの契約は後日のトラブルにつながりやすい
追加料金が発生する条件当日の予定外請求を防ぐため、事前に条件を明確にしておく
残す物・処分する物の事前共有「勝手に処分された」を避けるため、扱いを書面で確認する

順序としては、はじめに許可(法的に必須のもの)、つぎに契約の書面(トラブルの防御線)、そのうえで資格や優良企業一覧(姿勢のシグナル)という並びで見ると、判断を誤りにくくなります。資格は3番目の材料であって、1番目ではありません。

業者の選び方の全体像は遺品整理業者の選び方で、見積もりの取り方や費用の目安は遺品整理の費用相場で詳しく扱います。買取をともなう依頼で確認したい点は遺品整理の買取ガイドにまとめています。また、賃貸物件で入居者が亡くなった場合などに残された家財の扱いについては、残置物とはで所有権や撤去の考え方を解説しています。

遺品整理・残置物の対応でお困りの方へ

遺品整理や、賃貸での残置物の撤去は、許可の有無や契約のかたちなど、依頼前に確かめておきたい点があります。費用の目安は遺品整理の費用で、業者の選び方は遺品整理業者の選び方で整理しています。ご相談は [email protected] までご連絡ください。


出典

  • 一般財団法人 遺品整理士認定協会(資格の位置づけ・取得方式・入会金・会費) https://www.is-mind.org/apply_001/ (入会金30,000円・会費8,000円/1年間有効を2026-07-29に再確認。合格率は公式に記載がなく二次情報の目安)
  • 一般財団法人 遺品整理士認定協会「優良企業一覧」(事業者単位の推薦掲載制度) https://www.is-mind.org/companys/ (2026-07-29確認)
  • e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(第7条=一般廃棄物の収集・運搬を業として行う者は市町村長の許可が必要・許可は更新制) https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137
  • e-Gov法令検索「古物営業法」(第3条=公安委員会の許可、第12条=標識の掲示・氏名/公安委員会名/許可証番号の公表義務) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108
  • 環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」(家庭ごみの収集運搬には市区町村の一般廃棄物処理業許可が必要・産廃許可や古物商許可では回収できない・無許可業者への注意喚起) https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tv-recycle/qa.html
  • 警察庁/公安委員会(古物商許可の必要性) https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/kobutsu/index.html
  • 総務省「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」(令和2年3月、行政評価局。業法・定義の不在、契約書交付の実態) https://www.soumu.go.jp/main_content/000675388.pdf
  • 国民生活センター「遺品整理サービスでの契約トラブル」(平成30年7月19日。即決契約・追加請求・無断処分などの相談類型) https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20180719_1.pdf

よくある質問

遺品整理士は国家資格ですか。
いいえ。一般財団法人 遺品整理士認定協会が認定する民間の任意資格で、国家資格ではありません。資格がなくても遺品整理業を営むこと自体は違法ではありません。
遺品整理士の資格があれば廃棄物を回収できますか。
資格だけでは回収できません。家庭ごみ(一般廃棄物)を業として収集・運搬するには、廃棄物処理法にもとづく市区町村長の一般廃棄物収集運搬業許可が別に必要です。資格と許可は別の仕組みです。
遺品整理士の費用はどのくらいかかりますか。
入会金が30,000円、会費が8,000円(1年間有効)です(協会公式サイトの現行表記、2026年7月時点)。改定の可能性があるため、申し込み前に公式サイトで現行額を確認してください。
遺品整理士がいる業者なら安心ですか。
資格は学習歴を示す一つの目安ですが、それだけで優良と判断するのは避けたほうがよいでしょう。資格が保証するのは法令や遺族対応を学んだことまでで、許可の有無・料金の適正さ・作業品質までは保証しません。一般廃棄物収集運搬業許可や古物商許可、書面での見積もり・契約書の交付をあわせて確認することをおすすめします。
遺品整理士が本当に在籍しているか、確認する方法はありますか。
見積もりの場で認定証の提示を頼むのが確実です。あわせて、協会サイトの「優良企業一覧」に掲載されているか、買取を行う業者なら古物商の許可番号(公安委員会名と番号)がサイトや見積書に表記されているかも確認できます。口頭の「在籍しています」だけで判断しないことが大切です。
遺品整理士と「優良企業一覧」は何が違いますか。
遺品整理士は個人に対する資格で、優良企業一覧は協会が事業者(会社)単位で推薦する掲載制度です。スタッフ個人が資格を持っていることと、会社として協会の推薦を受けていることは別なので、広告の表示がどちらを指しているかを見分けると、業者の実態がつかみやすくなります。

遺品整理の費用や業者選びでお困りの方へ

間取りからの費用の目安、見積もりの取り方、信頼できる業者の見分け方をご相談いただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。

遺品整理を無料で相談

料金シミュレーターで概算を出す →

遺品整理を無料で相談