家族葬の費用はいくら?平均106万円と「安いとは限らない」理由・内訳・人数別

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監修・編集責任

山本貴大

株式会社ローカルマーケティングパートナーズ 代表

本記事は、鎌倉新書「お葬式に関する全国調査」、国民生活センターの公表資料、厚生労働省の人口動態統計、全国健康保険協会などの公的・一次情報にもとづいて内容を確認しています。

家族葬は、家族や近しい親族を中心に、少人数で行う葬儀です。いまでは葬儀のなかでもっとも選ばれる形式になりました。「費用を抑えられる」というイメージで選ばれることが多い一方、「家族葬にしたのに思ったより高かった」という声も少なくありません。

先に結論をお伝えします。鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査」(2024年)によると、家族葬の平均費用は約105.7万円でした。ただし、もっとも回答が多い価格帯は60万〜80万円未満で、平均は一部の高額なケースで押し上げられています。そして「家族葬だから安い」とは必ずしも言えず、国民生活センターも2026年にこの点を注意喚起しています。

この記事では、家族葬の費用相場と内訳、なぜ思ったより安くならないのか、人数による違い、追加費用や香典の扱い、そして家族葬のあとに続く片付けの費用までを、特定の葬儀社に誘導せず中立にまとめます。遺品整理の情報を扱う立場から、葬儀のあとの費用まで含めて解説するのが、この記事の特徴です。

家族葬とは(参列する範囲)

家族葬は、通夜・葬儀・告別式を行うお葬式のうち、参列者を家族や近しい親族(一部の親しい友人を含むこともあります)に限定した形式です。一般葬のように会社関係や近所の方まで広く呼ぶのではなく、身内でゆっくり見送ることを重視します。

鎌倉新書の最新調査(第7回・2026年)では、家族葬を選んだ人は全体の47.0%で、もっとも多い形式として定着しています。前回よりやや減り、直葬・火葬式や一日葬が増える多様化の傾向もみられます。参列者への対応に追われず、故人と落ち着いて過ごせることが、選ばれる理由になっています。

家族葬が選ばれる背景

家族葬がもっとも多く選ばれるようになった背景には、社会の変化があります。

ひとつは、高齢の単身世帯が増えたことです。日本の年間死亡数は令和6年(2024年)に約161万人と過去最多になり、大規模な葬儀を望まない人や、参列者が限られる見送りが自然と増えています。

もうひとつは、価値観の変化です。会社関係や近所への義理よりも、身内で落ち着いて見送りたいという考えが広がりました。感染症の流行を機に、少人数の葬儀が定着した面もあります。ただし近年は、一般葬に戻る動きも一部で見られます。

家族葬の費用相場【平均106万円】

まず、他の形式と比べた家族葬の位置づけを確認します。

形式別の葬儀費用の平均(全国)
一般葬 約161万円

通夜・告別式を行い、幅広く参列する

家族葬 約106万円

家族や近しい親族など少人数で行う

一日葬 約88万円

通夜を省き、告別式と火葬を1日で行う

直葬・火葬式 約43万円

儀式を行わず火葬のみ、または短いお別れのみ

出典:鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査」2024年

家族葬の平均は約105.7万円で、一般葬(約161万円)よりは抑えられます。ただし注意したいのは、この「平均」の見方です。

同じ調査では、家族葬でもっとも回答が多かった価格帯は60万〜80万円未満でした。平均の105.7万円は、一部の高額なケースが全体を押し上げた結果で、実感に近いのは60万〜80万円未満だと考えておくと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。含まれる範囲や地域、参列人数によって幅がある点も押さえておきましょう。

家族葬の費用の内訳

葬儀の費用は、大きく3つに分かれます。全国平均の内訳を見ると、家族葬の費用が「どこで決まるか」が見えてきます。

葬儀費用の内訳(全国平均・3区分)
葬儀一式(基本料金) 約75.7万円

祭壇・棺・搬送・安置・運営など。参列人数が減っても下がりにくい

飲食接待費 約20.7万円

通夜振る舞いなど。参列人数に比例して増減する

返礼品費 約22.0万円

会葬御礼・香典返し。参列人数に比例して増減する

出典:鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査」2024年。全国平均の内訳(お布施はこの3区分とは別に必要)。

この内訳は全形式を含む全国平均(総額約118.5万円)で、費用の構造を示すものです。家族葬では飲食・返礼が少人数のぶん小さくなるため、平均は約105.7万円に収まります。

費用の大半を占めるのが、祭壇・棺・搬送・安置・運営スタッフなどの「葬儀一式(基本料金)」です。これは参列人数が減っても大きくは下がりません。一方、飲食接待費と返礼品費は参列者ひとりあたりの費用なので、人数が少ない家族葬では抑えられます。

つまり家族葬が一般葬より安くなるのは、おもに飲食と返礼が減るからで、基本料金の部分は変わりにくいという構造があります。この点が、次に説明する「安いとは限らない」理由につながります。なお、宗教者へのお礼である「お布施」は、この3区分とは別に必要です。

【重要】「家族葬だから安い」とは限らない

国民生活センターは2026年6月、「『家族葬だから安い』と思っていませんか?」という表題で、葬儀サービスの料金トラブルについて注意を呼びかけました。ここは、家族葬の費用を考えるうえでもっとも大切な点です。

葬儀サービスに関する相談は増える傾向にあり、2024年度は978件でした。相談のうち「高価格・料金」に関するものの割合も増え、2025年度は52.6%にのぼっています。実際に寄せられた相談には、次のような例があります。

  • ネット広告の「50万円プラン」で申し込もうとしたら、葬儀社から120万円のプランを提案され、約120万円で契約した。
  • チラシの「一日葬 約30万円」を見て依頼したが、実際には約80万円の契約になった。
  • 「家族葬50万円」の表示で依頼したところ、案内されたのは140万円のプランで、追加費用も発生し総額200万円を超えた。

(出典:国民生活センター「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル」2026年6月3日)

広告やチラシの低価格は最低限の構成であることが多く、実際の葬儀では基本料金に含まれない項目が加わって総額が上がります。家族葬でも、この構造は変わりません。「安い」という言葉だけで決めず、総額でいくらになるかを確認することが大切です。

家族葬にしても大きく下がらないのは、費用の多くが参列人数に左右されない固定的な費用だからです。ご遺体の搬送・安置、祭壇や棺、火葬料、式場の使用料、運営スタッフの人件費、そしてお布施は、参列者が少なくてもほぼ同じだけかかります。人数を絞って減らせるのは、主に通夜振る舞いや返礼品といった、参列者の数に応じて変わる費用です。この違いを知っておくと、家族葬にしても総額が想像ほど下がらない理由が見えてきます。

家族葬で追加費用が出やすい項目

では、どこで費用が加わるのでしょうか。家族葬で「別途」になりやすい項目を整理します。見積もりを比べるときは、これらが含まれているか、別途かを確認すると、業者ごとの差が見えてきます。

追加費用が出やすい項目発生する条件
ご遺体の安置・ドライアイス火葬までの日数が延びた場合。1日ごとに加算
搬送距離の超過病院や自宅が遠い場合、規定距離を超える場合
式場・斎場のグレード広い式場や設備を使う場合
参列者の増加見込みより人が増え、飲食・返礼を追加する場合
お布施・戒名読経や戒名を依頼する場合。規模に関係なく発生
オプション(生花・映像など)標準から追加・格上げした場合

国民生活センターも、消費者への注意として「見積書を必ず受け取り、明細をよく確認すること」「打ち合わせは家族や第三者など複数で行うこと」を挙げています。不安なときやトラブルのときは、消費者ホットライン「188」に相談できます。

人数による費用の考え方

家族葬では「何人で行うか」で費用が変わります。ただし、人数が半分になっても費用が半分になるわけではありません。

前述のとおり、基本料金は参列人数が減っても下がりにくく、人数で変わるのはおもに飲食接待費と返礼品費です。たとえば5人程度のごく小規模な家族葬なら飲食・返礼をかなり抑えられますが、20人、30人と増えると一般葬に近づいていきます。

目安として、10人前後までなら飲食・返礼の負担は小さく、基本料金が費用の中心になります。20人を超えると飲食・返礼が積み上がり、30人規模では一般葬との差が縮まります。親族が多いご家庭では、少人数の家族葬でも思ったほど安くならないことがあるため、あらかじめ人数を見込んで見積もりを取っておくと安心です。

呼ぶ範囲を先に決めておくと、費用のブレを抑えられます。「どこまで声をかけるか」を家族で相談しておくことが、費用面でも気持ちの面でも大切です。

家族葬・一日葬・直葬の違い(形式の選び方)

家族葬を検討するときは、他の形式との違いも知っておくと、納得して選べます。

家族葬は、通夜と告別式を行いながら参列者を身内に絞る形式です。これに対し、一日葬は通夜を省いて告別式と火葬を1日で行い、直葬・火葬式は儀式を行わず火葬だけで見送ります。費用は一般葬(約161万円)、家族葬(約106万円)、一日葬(約88万円)、直葬(約43万円)の順に抑えられます。

形式は、費用だけでなく「どう見送りたいか」で選ぶことが大切です。きちんとした式で身内に見送ってほしいなら家族葬、通夜まではしなくてよいと考えるなら一日葬、費用を最小限にしたい事情があるなら直葬、という考え方になります。直葬について詳しくは、直葬・火葬式の費用のページで解説しています。

家族葬のメリットとデメリット

家族葬には、費用面・負担面のメリットがある一方、少人数だからこその注意点もあります。

メリットは、飲食や返礼を抑えられること、参列者への対応に追われず故人とゆっくり過ごせること、遺族の精神的・体力的な負担が軽いことです。

一方のデメリットは、香典が減るぶん自己負担の割合が増えやすいこと、参列できなかった方への後日の対応が必要になること、そして呼ぶ範囲をめぐって親族間で意見が分かれやすいことです。菩提寺がある場合は、事前の連絡を怠ると納骨や戒名で摩擦が生じることもあります。これらは、あらかじめ家族で相談しておくことで避けやすくなります。

家族葬の流れ

家族葬の流れは、参列者が少ないほかは一般的な葬儀とほぼ同じです。

家族葬の流れ(一般的な二日間の例)
  1. ご逝去・搬送・安置

    病院や自宅から安置場所へ搬送し、火葬まで安置します。

    墓地埋葬法により、原則として死亡後24時間を経過しないと火葬できません。

  2. 打ち合わせ・準備

    葬儀社と形式・日程・見積もりを決め、死亡届と火葬許可の手続きを進めます。

  3. 通夜

    身内で通夜を行います(一日葬では省略します)。

  4. 葬儀・告別式

    告別式を行い、お別れをします。

  5. 火葬・収骨

    火葬場で火葬し、収骨します。

香典・参列・後日弔問

家族葬では、参列するのは家族やごく近しい親族が中心になります。会社関係や友人・知人には、あとから訃報を知らせる形が多くなります。

費用の面で注意したいのは、香典です。家族葬でも香典を受け取ることはできますが、参列者が少ないぶん香典の総額は減ります。一般葬では香典が費用の一部を補いますが、家族葬ではその補填が小さくなるため、自己負担の割合が増える傾向があります。香典を辞退する家庭も増えており、その場合は香典返しの手間がなくなる一方、費用は自己負担が基本になります。

また、参列できなかった方が後日あらためて弔問に訪れることもあります。誰にいつ知らせるか、弔問をどう受けるかを決めておくと、あとの対応がスムーズになります。

お布施・戒名の費用

宗教者へのお礼であるお布施は、葬儀の規模に関係なく発生します。家族葬でも、読経や戒名をお願いすれば、そのお礼が必要です。お布施は宗派や地域、戒名の位によって差が大きく、数万円から数十万円まで開きがあります。金額に決まりはありませんが、事前に菩提寺へ相場を尋ねたり、僧侶を手配するサービスの定額プランを比べたりすると、見通しを立てやすくなります。

菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)がある場合は、家族葬にすることを事前に伝えておくことが大切です。連絡なく進めると、あとで納骨や戒名をめぐって摩擦が生じることがあります。菩提寺がない場合は、僧侶を手配するサービスを利用する方法もあります。

支払い・公的給付

家族葬の費用は、多くの場合で葬儀後まもなくの支払いを求められます。支払い手段は葬儀社によって異なり、現金のほかクレジットカードや分割払いに対応する社もあります。まとまった現金が急に必要になるため、支払い方法を先に確認しておくと安心です。

公的給付としては、故人が国民健康保険などに加入していれば葬祭費(自治体により1万〜7万円程度、東京23区は7万円)、健康保険なら埋葬料(原則5万円)が、申請により支給されます。申請期限はおおむね2年です。金額や要件は加入先や自治体で異なるため、窓口で確認してください。

家族葬の費用を抑える方法

費用を抑えるには、いくつかの現実的な方法があります。

まず、複数の葬儀社から同じ条件で見積もりを取り、総額で比べることです。プラン名や割引の見せ方が違っても、含まれる範囲と総額をそろえて比較すると、適正な価格帯が見えてきます。

次に、時間に余裕があれば事前相談や会員制度を使うことです。生前に情報を集めておくと、いざというときに落ち着いて判断でき、割引が用意されている場合もあります。形式や規模に対して不要なオプションを見極めることも、費用を抑えることにつながります。

ただし、安さだけを優先して後から追加費用がかさむと本末転倒です。総額と納得感の両方で判断することが大切です。

家族葬でよくある後悔・トラブル

家族葬で起きやすいのは、費用そのものより「呼ぶ範囲」をめぐるものです。

親族に相談せず範囲を狭めると、あとから「なぜ呼んでくれなかったのか」と受け取られ、関係がこじれることがあります。反対に、参列できなかった方が次々に弔問に訪れ、対応に追われることもあります。呼ぶ範囲は、費用だけでなく人間関係も踏まえて、家族で早めに決めておくことが大切です。

費用面では、前述の国民生活センターの事例のように、広告の低価格につられて契約し、総額が大きくなるケースが目立ちます。見積書の明細を確認し、含まれる範囲と総額を把握してから決めることが、後悔を減らすことにつながります。

家族葬と「そのあと」の費用をまとめて考える

家族葬の費用を考えるときも、葬儀のあとに続く費用まで見ておくことが大切です。葬儀が終わっても、次のような支出が待っています。

家族葬のあとに発生しやすい費用内容
遺品整理故人の家財の整理・処分。間取りや物量で変動
残置物の撤去・特殊清掃賃貸住宅の原状回復、状況に応じた清掃
納骨・供養墓・納骨堂・散骨・手元供養などの費用
各種手続き名義変更、解約、相続手続きなど

家族葬の費用だけを見て資金計画を立てると、このあとの遺品整理や住まいの片付けで想定外の出費が重なることがあります。とくに賃貸住宅では、退去期限までに片付けを進める必要があり、葬儀と並行して動く場面もあります。費用の全体像を早めに把握しておくと、慌てずに準備できます。

まとめ

  • 家族葬の平均は約105.7万円(鎌倉新書2024)ですが、最も多い価格帯は60万〜80万円未満です。
  • 「家族葬だから安い」とは限りません。基本料金は人数で下がりにくく、追加費用で総額が上がる相談も増えています(国民生活センター2026)。
  • 費用が人数で変わるのは、おもに飲食接待費と返礼品費です。
  • 見積書は明細と総額を確認し、複数社を同じ条件で比べます。
  • 香典が減るぶん自己負担は増えやすく、菩提寺がある場合は事前連絡が欠かせません。
  • 家族葬のあとの遺品整理や片付けの費用まで含めて、全体で資金計画を立てると安心です。

参考にした調査・制度

よくある質問

家族葬の平均費用はいくらですか?
鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査」(2024年)では、家族葬の平均は約105.7万円でした。ただし最も回答が多い価格帯は60万〜80万円未満で、平均は一部の高額なケースで押し上げられています。参列人数や地域、含まれる範囲によって幅があります。
家族葬は本当に安いのですか?
一般葬より費用を抑えられますが、「家族葬だから安い」とは限りません。国民生活センターも2026年に注意喚起しています。祭壇や運営などの基本料金は参列人数が減っても下がりにくく、広告の低価格プランに追加費用が加わって総額が上がる相談も増えています。
家族葬で香典はどうなりますか?
家族葬でも香典を受け取ることはできますが、参列者が少ないぶん香典の総額は減り、自己負担の割合が増える傾向があります。近年は香典を辞退する家庭も増えています。
家族葬でも菩提寺に連絡は必要ですか?
必要です。家族葬でも、菩提寺があれば事前に連絡し、読経や戒名、納骨の方針を確認しておくと、後のトラブルを避けやすくなります。

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