残置物とは?賃貸の退去・相続で残された家財の意味と、撤去前に確認すべきこと

写真は一部AI生成のイメージです

監修・編集責任

山本貴大

株式会社ローカルマーケティングパートナーズ 代表

本記事は、環境省・国民生活センター・国土交通省などの公的な一次情報にもとづいて内容を確認しています。

賃貸物件の管理や相続の場面で「残置物(ざんちぶつ)」という言葉を見聞きすることがあります。残置物とは、退去後や入居者が亡くなった後に、室内へそのまま残された家具・家電・生活用品などの動産のことです。一見すると「不要になった物だから片付ければよい」と思われがちですが、残置物には所有権の問題がついて回り、扱いを誤ると賃貸人や管理会社が法的な責任を問われることがあります。

この記事では、残置物の意味と問題になる場面、所有権の考え方、原状回復との違い、そして国が整備した制度までを整理します。

残置物とは

残置物とは、賃貸借契約の終了後や入居者の退去・死亡の後に、その居室内に残されたままになっている動産の総称です。家具や家電、衣類、寝具、食器といった生活用品のほか、現金や貴重品、契約書類などが含まれることもあります。

ポイントは、残置物が「持ち主のいない物」とは限らないことです。多くの場合、残置物には依然として所有者が存在します。だからこそ、誰の物かを確認しないまま処分してしまうと後々のトラブルにつながります。

残置物が問題になる主な場面

残置物が実務上の課題になるのは、おおむね次のような場面です。

場面起きやすい状況
通常の退去後入居者が一部の家財を置いたまま退去し、連絡が取れない
入居者の死亡単身入居者が亡くなり、相続人の有無や所在が分からない
相続・実家じまい親の住んでいた賃貸や持ち家に大量の家財が残る
空き家所有者が判明しない空き家に家財が残されたまま放置される

特に難しいのが、単身の入居者が亡くなったケースです。相続人がすぐに見つからない場合、賃貸借契約の解除も室内の片付けも進められず、次の募集ができないまま部屋が長期間止まってしまうことがあります。

残置物の所有権は誰のものか

残置物を考えるうえで最初に押さえるべきなのが、所有権の所在です。入居者が亡くなった場合、室内の家財(動産)の所有権は、原則として相続人に引き継がれます。つまり、残された物は管理会社や大家のものではなく、相続人の財産という扱いになります。

そのため、賃貸人や管理会社が相続人の同意を得ないまま残置物を処分すると、所有権を持つ相続人に対する不法行為となり、損害賠償を求められるおそれがあります。「退去して連絡もつかないのだから処分してよいはず」という自己判断は危険です。

なお、相続放棄が行われた場合や相続人がそもそも存在しない場合など、個別の事情によって対応は変わります。具体的な進め方は、弁護士や司法書士などの専門家に確認することをおすすめします。

残置物を適法に処分するための実務手順は、別記事の残置物処分の同意書で詳しく解説します。

残置物撤去と原状回復はどう違うか

残置物撤去としばしば混同されるのが「原状回復」です。両者は重なる場面も多いものの、目的と作業範囲が異なります。

項目残置物撤去原状回復
目的室内に残された動産を運び出し処分・保管する退去後の部屋を貸し出せる状態に戻す
主な作業家財の搬出・処分・買取・保管清掃・補修・内装の修繕
所有権の論点あり(相続人等の同意が要点)物件の損耗区分が要点

孤独死など特殊清掃を要する現場では、特殊清掃から残置物撤去、原状回復までが一連で必要になります。

残置物の処理を支える制度

近年は、単身高齢者の増加を背景に、残置物を円滑に処理するための制度整備が進んでいます。

国土交通省と法務省は「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定しています。これは、相続人の有無や所在が分からない単身者が亡くなった際に賃貸人が高齢者の入居を断ってしまう、という課題に対応するためのものです。内容は、賃貸借契約の解除を扱う「解除関係事務委任契約」と、居室内に残された動産の処理を扱う「残置物関係事務委託契約」の2つで構成されています(活用のためのガイドブックは令和7年10月時点で第2版が公表されています)。

さらに、2025年(令和7年)10月1日に施行された改正住宅セーフティネット法により、居住支援法人の業務に残置物の処理が位置づけられました。入居者と居住支援法人があらかじめ取り決めをしておくことで、死亡後の残置物処理を円滑に進められる仕組みが設けられています。

制度の詳しい中身と活用の流れは、残置物の処理等に関するモデル契約条項の解説で扱います。

残置物・特殊清掃でお困りの管理会社・大家の方へ

入居者の死亡や長期退去にともなう残置物の撤去は、所有権の確認や同意書の取り交わしなど、手順を誤れないポイントがあります。残置物撤去から特殊清掃、原状回復までをまとめてご相談いただけます。お問い合わせは [[email protected]] までご連絡ください。


出典(一次ソース)

よくある質問

残置物を勝手に処分してもよいですか。
原則として避けるべきです。所有権が相続人などにあるため、同意のない処分は損害賠償につながるおそれがあります。同意書の取得や契約上の取り決めなど、適法な手順を踏む必要があります。
残置物の撤去費用は誰が払いますか。
原則は相続人や連帯保証人が負担しますが、相続放棄などの事情で大家が負担することもあります。詳しくは残置物撤去の費用と「誰が払う」(/zanchi/cost/)で解説します。
残置物撤去はどこに頼めばよいですか。
家財の搬出・処分に加え、孤独死現場では特殊清掃、その後の原状回復まで一連で対応できる事業者に相談すると、窓口が一つで済みます。

残置物撤去・特殊清掃をワンストップでご相談ください

入居者の死亡や長期退去にともなう残置物の撤去から特殊清掃、原状回復までをまとめてご相談いただけます。

無料で見積もりを依頼

残置物処分の同意書を見る →

無料で見積もりを依頼