入居者の退去後や死亡後に室内へ残された家財(残置物)の撤去では、二つの疑問がよく生じます。費用はいくらかかるのか、そしてその費用は誰が払うのか、です。結論から言えば、費用負担は原則として相続人や連帯保証人に及び、相続放棄などの事情があると大家が負担せざるを得ない場面も出てきます。順に整理します。
残置物そのものの意味や所有権の基本は、残置物とはで解説しています。
残置物撤去の費用相場
費用は、間取りと荷物量、立地(エレベーターの有無や搬出経路)、買取の有無、特殊清掃が絡むかどうかで大きく変わります。目安は次のとおりです(業界の相場レンジ。実際は現地見積もりで確定します)。
| 区分 | 費用の目安 |
|---|---|
| ワンルーム・1K | 30,000〜100,000円 |
| 1LDK〜2LDK | 70,000〜300,000円 |
| 3LDK〜一軒家 | 170,000〜600,000円 |
| 孤独死現場の原状回復(特殊清掃を含む) | 平均で約494,000円、うち残置物処理は平均で約294,000円という調査もある |
価値のある物がある場合は、買取によって費用の一部が相殺されることもあります。一方で、エレベーターのない建物や即日対応では費用が上振れしやすい点に注意してください。
残置物撤去の費用は誰が払うのか
費用負担の出発点は、残置物の所有権が誰にあるかです。入居者が亡くなった場合、室内の家財は相続財産として相続人に引き継がれるのが原則で、その処理や費用も相続人に帰属するのが基本になります。ケース別に整理すると次のようになります。
| ケース | 費用負担の考え方 |
|---|---|
| 相続人がいる | 原則として相続人が負担(残置物は相続財産) |
| 連帯保証人がいる | 原状回復・残置物撤去にかかる債務の保証が及ぶ場合がある |
| 相続放棄・相続人が不存在 | 引き受け手がなく、結果として大家が負担せざるを得ない場面が出る |
相続放棄が見込まれるケースや相続人が複数・不明のケースでは、相続財産清算人の選任など追加の手続きが必要になることもあります。負担区分は個別事情で変わるため、具体的な対応は弁護士や司法書士などの専門家に確認してください。なお、遺族・相続人の側から見た「相続放棄するとき遺品をどう扱うか」は、相続放棄と遺品整理で解説しています。
無断で処分するとどうなるか
費用を抑えたいからといって、所有者の同意を得ないまま残置物を処分するのは避けるべきです。所有権が相続人などにある以上、無断処分は不法行為となり、損害賠償を求められるおそれがあります。
適法に進めるには、相続人や連帯保証人から残置物の処分について書面で同意を得る方法が基本になります。書面の作り方と記載項目は残置物処分の同意書で扱います。生前から備える方法としては、国が整備した制度を使う選択肢もあります(残置物の処理等に関するモデル契約条項)。
特殊清掃が必要な場合
孤独死などで室内の汚損が生じている場合は、残置物撤去の前後に特殊清掃が必要になります。この場合、消臭や汚損箇所の補修が加わるため費用は上がり、その後の原状回復まで一連で対応することになります。
見積もりで失敗しないためのチェック
残置物撤去や遺品整理をめぐっては、見積もりと最終請求の差や、当日の予定外の追加請求といった相談が、消費生活の相談窓口に多く寄せられています。次の点を確認すると、こうしたトラブルを避けやすくなります。
- 書面の見積もりを取り、作業範囲と処分費の内訳を明確にする
- 追加料金が発生する条件をあらかじめ確認する
- 残す物・処分する物を事前に区別して伝える
- 一般廃棄物の収集運搬や買取に必要な許可の有無を確認する
残置物撤去・特殊清掃をワンストップで相談したい管理会社・大家の方へ
費用負担の整理や同意書の取り交わしは、手順を誤ると後日のトラブルにつながります。残置物撤去から特殊清掃、原状回復までをまとめてご相談いただけます。お問い合わせは [[email protected]] までご連絡ください。
出典
- 国土交通省「住宅:残置物の処理等に関するモデル契約条項」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000101.html (2026-06-20確認)
- 費用相場は業界各社の公開相場および調査値に基づく目安。孤独死現場の原状回復平均・残置物処理平均は 日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会「第10回 孤独死現状レポート」(2025年)の累積データ(原状回復費用 平均494,344円・遺品整理〔残置物処理〕費用 平均294,131円) https://www.shougakutanki.jp/general/info/kodokushi/ 。いずれも公的な料金統計ではなく、最新版で要再確認
- 見積もりトラブルの傾向は 総務省「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」および国民生活センターの注意喚起に基づく


